館長 藤原 英幸氏
もう少しで、ブラジルでサッカーワールドカップが始まります。この稿が出る頃には、既に初戦で日本が勝利していると確信しています。今回の日本チームは攻守ともに素晴らしい選手が多く、とても期待でき、今から観戦が楽しみです。日本チームの一番の強みは、いかなる状況にも対応できる連携プレーではないのかなと思っています。
この連携プレーがなくなるとチームとして機能しなくなります。あの震災時も、最初、本当に不安だったのは、色々な連携の遮断でした。停電でどこからも情報がとれない情報遮断、ガソリン不足で動けず安否確認もままならない人との交流遮断、そして、道路が寸断されたことにより物資が届かない物流遮断でした。
そんな時、支えになったのが地域の力だったと思います。孤立してしまいそうな中、近隣への声掛けによる安否確認、あるものを持ち寄って当座をしのぐなど、各世代が協力し乗り切ったように思います。震災時、私がいた地域では、若い人達があのカオス状態の中、得意な情報端末を使い情報の受発信を行い皆に情報を伝達し、また、年配の方々は飯ごうを使ってごはんを炊いて皆に提供してくれていました。それぞれが得意分野を駆使し、すばらしい連携でした。
やはり、一番身近な「絆」は地域にあるように感じます。想定外のことが起きても、まず最初に頼りになるのは地域です。地域には、町内会、小中学校、児童館、福祉施設、各種店舗などなど色々ありますし、人材も豊富です。普段から気軽にコミュニケーションがとれ、顔が見える信頼関係が醸成できていれば、地域ネットワーク力で「なんとかなる」と思います。
日本チームの選手達は、連携プレーを確固たるものにするために、何度も練習を重ねていると言います。地域でも、「交流は雑談から」ではないですが、まずは、色々な場で、みんなが更に集まれれば連携―絆―が深化するような気がします。市民センターも、気軽な交流の場、「気持ち良い地域の縁側」として、もっともっと活用していただけるように努力していきたいと考えています。
次回は、宮城県産業技術総合センター所長 伊藤 努氏