fmいずみは、周波数79.7MHZで泉区を中心に仙台市のほぼ全域に向けて放送しているコミュニティ放送局です。このような限られたエリアのラジオ局は、生活に身近で細やかな情報をスピーディに放送できる利点があります。
1995年の阪神淡路大震災のときには、神戸市内をエリアとするラジオ局ができ、被災者へ食料、避難所、ライフライン等の情報を流し続け、高い評価を受けました。仙台市の調査によりますと、東日本大震災時、停電中に情報を入手したのは、84.3%の人が「ラジオ」でした。ラジオと防災は強い関係があります。
私は震災前から防災士資格を取得し、ラジオ番組で防災コーナーを担当して、いざということきに備える情報を放送してきました。一方で、家庭にある身近なものを使って楽しい科学実験を紹介するサイエンスショーの活動をしてきました。「放送(防災)」と「科学実験」の2つを融合したものができないかと考え、「防災エンスショー」(防災+サイエンス)ができました。防災に関することを科学実験で紹介し、防災のコーナーでお話している知識や情報、取材してきたことをお話します。全国各地に出向いて実験と講演をする機会をいただいています。県外での講演の際は、被災地がいまどのような問題に直面しているのか、最新の話題を盛り込んで、子どもから大人まで理解をしていただけるように心がけています。そのために、笑いや驚き、ひらめきを随所に入れ込んで引き付ける演出も加えています。これは防災教育であり、エンターテイメント性も併せ持ちます。
25年度から小・中学校では防災の授業が始まっていますが、親子で学ぶチャンスはまだ少ないと感じています。恐い、難しいという防災のイメージを変えて、「楽しく科学・伝える防災」という手法で、これからも多くの方に参加いただきたいと願っています。家庭で親子が防災のことを共通の話題にできることが、減災につながると考えています。
いまラジオは、パソコンやスマホを使って全国各地の放送を、全国どこからでも聞けるようになりました。ラジオが役立てられる新しい防災の形を模索しています。
次回は、宮城学院女子大学 教授 正木 恭介氏