作間 秀伸
地産地消と言う使い古された言葉に、どれだけの方が耳を傾けるでしょうか。 地域イベント、給食などでは「地産地消」と言う言葉が頻繁に使われ、飲食店ではお店の「売り」として地産地消を掲げますが、限定的な地域の中では、旬は短く中長期的な使用は難しいので、スポットでの使用や「期間限定」のような使い方になります。長期にわたり使うには塩漬けや乾燥などの加工が必要不可欠になります。 流通の発展で、日本全国の新鮮な食材が手に入るようになり、回りくどい加工をしなくても食材を使うことが出来るようになりました。しかしこれが地産地消を後押し出来なくしているのではないでしょうか。 限定的な地域の中で旬を長く楽しむために塩蔵、乾燥などの加工があり、これにより中長期間食材の使用を可能にし、限定的な地域の中で食材を消費する事が出来ます。そう考えると一昔前は意識することなく「地産地消」を体現していたことになります。その中で地域に根付いた加工(保存食)があり、それは地域により様々です。この加工の発展があったからこそ地産地消が肩肘張ることなく自然に受け入れられ、郷土料理として他の地域との差別化が図られてきました。 しかし、物流が発展した今、限定的な地域に固執するのは現実的ではありません。そこにどうやって地産地消を組み込むのか、北は北海道から南は沖縄まで長くそれぞれの地域に生産者がいます。魅力的な生産物を沢山の消費者に届ける使命を持つ生産者に「地産地消ですから・・・」などというのは筋が通らない。 地域ごとの独自の加工(保存食)は衰退しどの地域でも同じような加工に統一されつつあり、独自性が減ってきています。利便性を求めると仕方のない事ですが、独自性という他との違いが、言い換えれば、その地域の魅力になるのではないでしょうか。 地産地消を当たり前として受け入れ継続的に使うには、作る側、食べる側が意識の中に地産地消を入れ、地域の食材に興味を持ち、旬を理解し、地域の旬を、楽しむことが重要だと考えます。
次回はまんま亭 楽(らん)代表取締役 兼オーナーシェフ 武藤 重樹様