9月の自民党総裁選で安倍晋三自民党総裁が再選され、その後、第4次安倍改造内閣がスタートした。私は与党議員であるが、このような公共的紙面の場であるので、中立的に安倍政権が今後打ち出す政策、日本経済の動向を解説してみたい。
安倍政権が今後打ち出す政策は二本柱からなっている。ただ、この二本柱はこれまでと変わるものではなく、最終盤である向こう3年で実現を図るためスピードアップが行われる。
1つは、どんな時も我が国と国民を守り平和を守るための、憲法への自衛隊明記。世界各国の憲法の中で、国を守る手段が明記されていないのは、日本を含め4カ国しかない。しかも人口4万人以上の国では日本しかなく、憲法上の不備を補い、国民の手=自衛隊の手によって日本を守ることを明記し我が国の平和を守る。ただ、これについては様々なご意見の方がいらっしゃるので、安倍政権・自民党の考えをここで記すにとどめ、2つ目の柱である経済政策の話に移っていきたい。
2つ目の柱は、アベノミクスの一層の推進である。経済の好循環を生み出し国民の所得を上げ、豊かな国民生活を築いていく。これまでは金融緩和中心であったが、今後は財政出動をしっかり行う方針である。アベノミクスの約6年により、経済は成長軌道に乗りつつあるが、地方において景気が良くなったとの実感はまだまだである。
失われた20年は日本の緊縮財政によって生み出された。世界各国は景気を下支えするため、この20年で積極的な財政出動を行い、例えばアメリカの国家予算は2倍、イギリスは2・5倍となり、これらの国では所得は1・5倍を超えた。しかし日本の国家予算は20年前と比べても1・1倍。所得は減っているのである。
こうしたことから今後、日本は大胆な財政出動を行う方針であるが、その中心は、橋やトンネルなどの老朽インフラの更新、観光、子育て世代の負担軽減である。子育て世代の負担軽減は少子化対策の一環であるが、負担軽減により消費にお金を回せる部分が出てくるため、消費が喚起される面が期待される。このようにして景気の好循環を生み出し国民の所得を上げていく。消費増税を来年に控えるが、景気対策と子育て世代の負担軽減によりそれを乗り越えていく。国民全体が、暮らしが豊かになったなと実感する経済を、政府は作り出していかなくてはならない。
次回は東洋ワーク株式会社 代表取締役社長 宮城会津会 会長 須佐尚康氏