第52回 第54回

随想第53回

栗原憲昭 “大震災から6年 ~復幸へ~” 一般社団法人 宮城県建築士事務所協会 会長 栗原 憲昭

6年前の2011年3月11日(金)14時46分、東日本大震災が発生した。地震の大きさはマグニチュード9・0、世界で4番目に大きな地震だ。警察庁によると2017年6月時点で宮城県の死者は9540名、未だ見つかっていない人は1228名となっている。今回の被害のほとんどが津波によるものだ。

震災直後はインフラが寸断され、倒壊した建物の瓦礫や車両などで道路がふさがり、辿り着けない場所も沢山あった。その為、当協会員を含む建築士が住宅やビルの応急危険度判定をする際、自転車で長時間かけ往来する者もいた。また、なかには立ちながら食事する者や自分も被災者なのに身を削って作業する者も大勢いた。応急危険度判定については2014年、仙台市と「震度6弱以上の地震が発生した場合、発生から24時間以内に1次避難所に指定されている193箇所の施設の安全確認を速やかに実施する」協定を結んだ。

私も無我夢中で復旧・復興活動を行なってきたが、皆で食事を取りながら打合せをして今後の復興活動に繋げるための場所が必要不可欠だった。そのため仙台国分町の一部の飲食店が救援活動でお店を開いていたことは大いに助けられた。自身も被災しガソリン不足による物流の停滞、食料が充分ではない環境の中で開店することはどんなに大変だったかと思う。

この震災で「備えあれば憂いなし」との教訓を得て、次のことを今後の災害に備えておく必要があると感じた。ひとつは建物の耐震性。昭和56年以前の建物は脆弱で、未だ補強されていないビルや住宅が沢山ある。そして宅地も重要だ。建物が丈夫でも地盤が脆弱だと被害が拡大する。自治体ではその地域のハザードマップを掲載しているので参考にされたい。また、建物の耐震対策などの相談は遠慮なく当協会にお問合せください。

最後に皆さんの家庭や職場での地震対策は万全ですか?避難訓練や懐中電灯、笛などの防災グッズを用意することは当たり前のこと。事前に避難場所や連絡方法など具体的に決めておきましょう。インフラ対策として、手動式井戸やソーラーパネルでの自家発電、蓄電システムでの電気自動車の活用、下水道に直結するマンホールを使った応急仮設トイレも有効。一人一人の意識はもちろんのこと、みんなが関心をもつことが大切です。

まだまだ復興半ば、皆で「復幸」まちづくりに取組んでいきましょう!宮城県建築士事務所協会では建築に係わる相談をお待ちしております。現在お住まいのお宅に関するお悩み、耐震診断のお申し込みや、新築の相談まで、お気軽にご連絡ください。

【お問合せ】
(一社)宮城県建築士事務所協会
☎022-223-7330(代表)

次回は株式会社 わらび座 代表取締役社長 山川 龍巳氏