岩手、宮城にまたがる三陸・金華山沖は世界三大漁場の一つに数えられている、という話はたいていの方はご存知かと思います。では、あと二つの漁場はどこかお分かりですか。
一つは、ノルウェー沖、もう一つがカナダ・ニューファンドランド島沖のグランドバングということになっていて、いずれも水産物が豊富に漁獲される水域です。 そこで共通していることは寒流と暖流がぶつかるところであり、湧昇流により植物性プランクトンが大量に発生する場所だと言われています。 植物性プランクトンを動物性プランクトンが捕食してそれを稚魚が食べて育ち、食物連鎖により多種多様な水産物が存在できる環境になっているのです。 宮城県内の魚市場に水揚げされる魚は約200種類もあると言われていて、実際に宮城県が発行している「みやぎ お魚図鑑」のポスターには200種類以上の魚が描かれています。
皆さんは「金華ブランド」というものがあるのをご存知でしょうか。 命名者は石巻魚市場で証明書を発行しています。 現在は、有名な「金華サバ」や「金華かつお」「金華銀さけ」の3種類のブランドがあります。 私の会社では、「金華サバ」を使って〆サバやサバの加工品を製造販売していますが、競合も多いのでこだわりを持って独自な味付けをしていて、よりサバ本来の旨味を引き出している〆サバに仕上げていて好評です。
水産加工業は東日本大震災で壊滅的な打撃を受けてしまいましたが、それまでは競争相手と思ってあまり付き合いがなかった同業者が震災後は、「一社二社ではどうにもならない、力を合わせて立ち上がろう」と「石巻うまいもの発信協議会」をつくり、本来は企業秘密である新商品の開発を共同で行って遠慮のない批評を出し合い、より良い商品づくりに生かしてきました。 その中から、消費者の意見も直接聞けて商品づくりに生かしたい、との思いで、昨年石巻の街中の商店街にできた再開発ビルの中にアンテナショップを開き、10社が出資してその店の運営会社、「石巻うまいもの株式会社」も立ち上げました。 「石巻ASATTE(アサッテ)」の中の「石巻うまいものマルシェ」という店です。レストランやクラフトのお店と一体感を持った店になっています。皆さん、石巻にいらしたら、ぜひ一度お立ち寄りください。
次回は水月堂物産株式会社 代表取締役 阿部芳寛氏