第104回 第106回

随想第105回

株式会社アビーナリーマネジメント 会計コンサルティングチームリーダー 白石 冬人 M&Aは東北の経済を加速するか 株式会社アビーナリーマネジメント
会計コンサルティングチームリーダー
白石 冬人

弊社は、仙台市は仙台トラストタワーに事務所を構えるコンサルティングファームです。開業支援から資金繰り相談、事業計画の策定等、経営者の抱える経営課題に対してワンストップで支援を提供しています。なかでも特に、事業承継については、財務コンサルティングの実績と金融機関との連携による多角的な支援に強みをもっております。 現在、事業承継は、中小企業の経営者にとって緊急の課題となっています。経済産業省の推計では、2025年には、全国の中小企業の経営者381万人のうち、70歳を超える経営者は約245万人となり、うち約半数の約127万人が後継者不在になると見込まれています。このままこの状況が続けば、中小企業のうち約3分の1がいつかは廃業を迫られる可能性があるのです。経営者自身にとっては、安心して勇退を迎えられるかどうか、日本そして東北の経済全体にとっては、地域の雇用や産業・技術を維持できるかどうか、その岐路に立たされているといえるでしょう。中小企業の事業承継を進めることが、喫緊の課題となっているのです。

この状況に対して、経済産業省は、令和2年3月に、「事業引き継ぎガイドライン」を全面改定した「中小M&Aガイドライン」を公表しました。そのなかで注目されるのが、M&Aが問題解決のキーワードとして挙げられていることです。親族や社内での承継が困難な事業者でも、企業同士のマッチングで解決していこうという動きが始まっているのです。その一方で、事業承継・M&Aに関する情報が中小企業にどれほど行渡っているかというと、必ずしも十分ではないのが実情です。いかにこの認知を広げていくかが課題となっています。だからこそ、普段、経営者のすぐ側で相談を受けることができる我々のような存在が、積極的に情報発信していくべきではないかと考えています。事業承継は、一朝一夕には成し得ません。平均的には3〜5年、もしくは10年以上の時間が必要な場合もあります。早めに着手できれば、会社にとっても、創業者にとっても、有効な施策を打つことができます。まずは、税理士をはじめとした専門家への相談が大事な一歩となります。皆様にとってひとつ有益な情報となりましたら幸いです。

次回は医療法人社団 誠歯会  亀井 弘文 様