随想 絆

株式会社田伝むし 代表 木村純

第45回 石巻で農業を続けること・伝えていきたいこと

株式会社田伝むし
代表 木村 純

 私どもは石巻で無農薬のお米作りを生業としております。農業を取り巻く環境は厳しく、特に稲作農業はお米の消費減少、後継者不足と明るい話題が少ないのが現状です。就農当時このままではまずいと強い危機感を感じましたが、今はもっと強く感じております。

 私は食品メーカー勤務後、実家の家業である農業を継ぐため、会社を退職し就農しました。父親からお米作りを一から学び、同時にインターネットを使った販売を始めました。 「今から始めても遅い」厳しいアドバイスの中のスタートで、 簡単には結果につながらず何度も心が折れそうになりました。夜パソコンに向かいうたた寝しながらも、コツコツと続けた結果、少しづつお客様がつき始めました。

 結果が出てきて面白くなってきた矢先、思わぬところから逆風が吹いてきました。両親から「半人前のくせに田んぼに出ないで何やってんの!」 、販売が好調になってくると毎日のように注文が入り、朝、精米・梱包してから田んぼに行くため、作業開始が遅くなってしまいます。 特に田植え後から始まる草取り作業は手を抜くと草取りが追いつかず、後で数倍の労力になってしまい、お米の質・収量に影響してきます。 一人の頑張りで何とかなる仕事量ではないのです。自分の無力さ、自立した農業を展開する難しさ、様々な思いが交錯しながらの農業ですが、田んぼにいると幸せを感じる瞬間もあります。 それは裸足で田んぼの草取りをしながら、西に沈む夕日を眺められる時です。すべてを忘れて、今を感じるんです。そうすると、こんな幸せな仕事ってあるのかなと一瞬で幸せになれます。

 震災の前年に将来的な雇用と農を志す若者を受け入れの為、農業生産法人(株)田伝むしを設立しました。 今は2人の若者を雇用してますが、今後はおにぎり等の加工、農カフェの展開し、石巻で雇用を増やしていければと考えております。 無農薬栽培に興味関心のある方、無農薬ササニシキを食べてみたい方、田んぼの草取りを体験をしてみたい方はご一報下さい!

次回は株式会社ヤマトミ 代表取締役 千葉雅俊氏

一覧に戻る

ホーム » 随想 絆 » 第45回 石巻で農業を続けること・伝えていきたいこと

宮城県内の飲食店経営者のみなさまへ

加盟店募集中
宮城県社交飲食業生活衛生同業組合では加盟店を募集しています。