第94回 第96回

随想第95回

株式会社ニア 代表取締役 木皿 譲司 Afterコロナ、問われる資質 坂部印刷株式会社
常務取締役 坂部 経洋

当社は、明治14年に創業し、本年で140年目を迎える印刷会社です。印刷・WEB・プランニングデザイン・3D映像など、お客様の課題を解決するお手伝いをさせていただいております。昨今、SDGsの推進やニューノーマルへの対応など、地域社会の持続的発展に貢献できる企業体制へと進化していく必要があると強く感じております。

当社の取り組みのひとつとして、色におけるユニバーサルデザインの推進があります。ユニバーサルデザインとは、「すべての人のためのデザイン」を意味し、文化や言葉の違い、年齢や障がいの有無などに関わらず、なるべくすべての人が利用可能であるように製品や建物そして空間をデザインすることをいいます。一口に障がいをもつ人といっても、視覚、聴覚、肢体、内部、知的など、さまざまな障がいがあります。また誰もが、怪我などで一時的に障がいをもつこともありますし、言葉のわからない土地に行けば移動制約者となります。

その中において、色のユニバーサルデザイン(カラーユニバーサルデザイン)は、印刷業が取り組んでいくべきものと考えております。私の見ている色と、皆さんの見ている色が同じとは限りません。人によって区別しやすい配色と区別しにくい配色は異なります。また加齢によって色覚機能が弱くなる場合もあります。日本における色弱者の割合は、男性の約20人に1人、女性の約500人に1人、日本全体では320万人以上いるとされています。よって、多様な色覚に配慮し、情報をなるべくすべての人へ正確に伝わるように、利用者の視点に立ってデザインすることが必要だと考えます。

しかし、色は多くの情報をまとめ、イメージ、強調、指示、状態などを表現できる便利な情報伝達手段です。色弱の方に配慮することで、一般の方に違和感を与え、分かりづらくなってはカラーユニバーサルデザインとは言えません。ゆえに、色を使ってデザインし印刷している印刷業を営む当社が、率先してカラーユニバーサルデザインを理解し広めていくことで、「思いやり溢れる社会づくり」に少しでも貢献していきたいと考えております。

次回は運龍堂株式会社 代表取締役 佐藤貴繁様