第82回

随想第83回

宮城学院女子大学 教授大谷 尚之 食がつくる地域のイメージ 宮城学院女子大学 教授
大谷 尚之

 今年の4月から宮城学院女子大学に勤めています。生まれ故郷である仙台で生活するのは14年ぶりです。食や地域のマーケティングを研究テーマとしていますので、今回は地域イメージと食について書いてみたいと思います。

 3月までは愛媛県松山市に住んでいたのですが、「仙台出身です」というと、「仙台は牛タンが有名ですよね」と返ってくることが多かったです。松山ほど離れますと、宮城県には行ったことがないという人が多いのですが、それでもほとんどの人が、仙台名物といえば牛タンというイメージを持っています。また大学生の間では、「ずんだ」も意外と知られていました。様々なお菓子とのコラボが若者に受けているのかもしれません。

 地域独自の食べ物は、観光スポットや歴史上の偉人と並んで、地域のイメージをつくる重要な要素です。現在の仙台であれば、松島(ほぼ隣りということでお許しください)、伊達政宗、牛タンの三つがメジャーな存在といってよいでしょう。  松山の前に住んでいた栃木県宇都宮市は餃子で有名です。餃子によるまちおこしのきっかけとなったのは市役所の職員による提案でした。職員研修の際に、宇都宮の地域イメージの弱さを克服する手段として、餃子による地域セールスを提案しました。その後餃子店の団体である「宇都宮餃子会」が主体となり、行政やマスメディアの後押しもあって、見事に「餃子のまち」となりました。一点突破型の地域ブランド戦略の成功例です。現在では、餃子の力で、ジャズやカクテルなど他の観光資源の底上げを図ろうとしています。

宮城県は「食材王国」を自認するほど、農水産業が盛んで、美味しい料理や加工品が多数存在しています。その一方で、条件に恵まれているがゆえに、「攻め」のブランドづくりはやや弱い印象を受けます。今後、地域間の競争が激しくなる中で、「第二の牛タン」的存在を育てることや、他地域と連携した情報発信なども必要となってくるかと思います。私も、微力ながら地域に貢献できればうれしい限りです。

次回は有限会社東北工芸製作所 常務取締役 佐浦みどり 様