第77回

随想第78回

代表 加藤 真崇 目指すべき農業のあり方 多賀城味噌製造 みそらの郷
代表 加藤 真崇

 多賀城市で七代続く農家の家に生まれた。稲作の他、冬に味噌製造業を営んでおり両親が一生懸命に働く姿を見て育った。

 県外の大学を卒業後、すぐには家業を継がなかった。宮城に戻り営業職に着いた。学生時代野球しかやってこなかった私は当然何も通用するはずがなく社会の厳しさを知った。数多くの失敗と経験、社会人としての基礎を学んだ。前職で世話になった方々には本当に感謝している。今も良好な関係を築き強力な人脈として時に私を叱咤激励し助けてくれる。

 2011年に転機が訪れ、震災後病気の影響で体力の衰えた父親の姿を見て七年勤めた会社を辞めた。思い返すと就農後の三年間は本当に辛かった。始めこそ会社員時代の厳しいノルマから解放されて父親から言われた仕事だけをこなし「なんて楽な仕事だろう」と思ったが、農業は甘くなかった。農業手伝いの身分では収入は半減し、思い描いていた姿との違いで父親と何度も衝突することとなった。四年目からは出来もしないのに反発して「俺一人でやるから一切口出しするな」と大見栄を切って自己責任の自営業の世界に飛び出した。言ったからには後には引けず米と味噌、全国の名だたる農家と味噌屋を訪ね、恥を忍んで何でも聞いた。弱点を素直にさらけ出すことで多くの人々に手を差し伸べて頂いた。当初3㌶だった農地も10㌶になり顧客のニーズに合わせた米作りの結果12品種の銘柄を作付けし、すべて完売できるようになった。

 今後は多賀城市の地の利を活かした「都市型農業」を構築したい。仙台市中心部、空港、港すべて30分以内の土地であえて米作りだけをする理由は無い。巨大消費地にいち早く新鮮な農産物を届けられるアドバンテージがこの土地にはある。来年度から水田を畑地化してニーズに合った農作物を生産する計画も進めていきたいと考えている。農家はもっと飲食店経営者や事業者と密に連携をとるべきだ、おそらく農家は皆さんにとって「行きづらい」「聞きづらい」存在になっているのだと思う。もっとオープンな関係を築き、出来れば農地に来てほしいと思う。私の最終的な夢は多賀城市に体験型観光農園を作ること。揺るぎない決意のもと実現に向けて邁進して行きたい。

次回はArt Cafe Bar SEASAW オーナー SEVEN BEACH PROJECT 実行委員長 七ヶ浜観光協会 副会長 久保田 靖朗様 様