第73回

随想第74回

鈴木 雅博 おかげ様 株式会社 くろしお
鈴木 雅博

 平成最後の春、母は米寿、子や孫ひ孫40名を超えてのお祝いを終え令和を皆無事に迎えることができたことに43年前53歳の若さで他界した父にそしてご先祖に感謝の念を新たにしました。

 母と貞山運河の御舟入堀沿いに同居する三男の私は、7月に骨折で米寿の母が入院したため初めて仏壇回りを整理し出てきた昭和60年前後のお客様を対象とした釣り大会写真アルバムに思わず見入り感慨にひたり当時の多くのお客様の記憶がよみがえり、今があるのはこの方々の「おかげ様」なのだと確信することができました。今も継続している70歳を超えるお客様の若き日の画像から自身の老いにも感じうるものがありました。

 私は、塩釜港千賀の浦の奥部で北浜マリンベースというマリーナを経営しています。マリーナとしては都市型で国道に面し更にJR駅前で海域は重要港湾エリアという一等地です。これを取得できた背景の一つに「ご先祖のおかげ」があります。土地取得競合者は10社程の造船所でしたが殆どの方が、大正から昭和初期に北洋独航船を建造していた私のご先祖のことを知っていたことから塩釜市北浜地区造船所移転用地だった旧東北造船跡地でのマリーナ設置に反対されることはありませんでした。

 堀の底が貝殻質で白く見えていた頃から自宅前で雨の日でさえ釣りができた環境で育った私の釣り好きは母方のご先祖由来と捉えています。大正から昭和前半に活躍した船頭で2代続けて名船頭として有名だったと聞いています。釣り好きの私は年に2回だったお客様対象の釣り大会を今は7回から8回開催しています。最も大きなイベントは、今年23回目となる「塩竈カジキ釣り大会」です。全国から50を超えるボートが塩釜港へ集まり3日間の日程で開催されます。釣りに没頭し仕事の柱の一つにできていることは、母方の血の由縁「おかげ様」と感じています。

 汚れた作業服で喜怒哀楽すべてを何かと理由をもって日々通った飲食店街塩竈市尾島町、労苦を吸収してもらい健全だろうと思われる今の自分があるのは、この町の「おかげ様」と常々思いながら次世代への引継準備を加速させる令和元年のお盆でした。

次回は中央ビジネス交流事業協同組合 理事 鈴木 伸 様