第37回 第39回

随想第38回

新澤 巌夫 日本航空国際線アッパークラス10年連続搭載 ミラノ万博公式日本酒 G7仙台財務大臣サミットディナー採用 新澤醸造店(伯楽星) 代表取締役 新澤 巌夫

「あたごのまつ」「伯楽星」という日本酒を製造している新澤醸造店は創業1873年。140年以上の歴史を積み重ねて日本酒の醸造を続けています。大崎平野の恵みを受けて、土井晩翠先生にも愛飲された酒として、私は小さなころから日本酒を醸している現場を見て育ちました。

実際に蔵の5代目として跡を継ぎ、酒造りはもちろん、ラベルの発注から、空瓶回収まで全ての仕事をひとつひとつ勉強していきました。

また、どんなに美味しい日本酒が出来ても、保存管理が悪くて、品質が落ちるという事も課題のひとつでした。コストはかかりますが、全ての日本酒を-5度で管理、取引先で日付が古くならないように小口ロットでの出荷、3か月以上経過したお酒は酒販店様へ訪問して回収。とにかく配達用のトラックや販促品など一切切り捨てて、品質だけに特化していきました。

何よりトップレベルの酒質を誇る宮城県です。まやかしは一切通じず、もちろんウルトラCもなく、ただただ酒質を上げていくという事をコツコツと積み上げていくしかありませんでした。

当蔵の指針は「究極の食中酒」。酒質のインパクトを抑え、食を一層引き立たせるコンセプトで飲食店様、ご家庭のお料理に手が進むことを何より大事にしました。目立たないながらも、ついついもう一杯という形に気が付いたお客様、飲食店様、酒販店様に支えられて食中酒が浸透していきました。

現在は震災移転で場所を川崎町の蔵王連峰の麓に移し醸し続けています。水質の豊かな環境に恵まれ、世界一の日本酒を決める酒コンペティション2014にて伯楽星が全国2位、あたごのまつが全国8位に。2015年は伯楽星が全国7位、あたごのまつが全国9位10位と常に全国上位に関われるようになりました。

2010年、2014年FIFAワールドカップ公式日本酒他、海外では17か国で味わう事が出来ています。海外での仕事は1勝9敗でいつも負けだらけなのですが、20年前の仙台で1.2件しかお取扱いが無かった当蔵は1勝でも出来れば大騒ぎです。しかも岩手宮城内陸地震・東日本大震災と皆様の支えで、何とか乗り越えて頑張っています。

少しずつですが、支えてくださる地元の方々に恩返しができる蔵元に近づけるよう精進してまいります。

次回は株式会社 接客アドバイザー代表 阿部大氏