第27回 第29回

随想第28回

早坂ひろみ 植物の仕事に関わって30年 花の力を感じ、若い力を育てていきたい ラクレ代表 プランツアドバイザー 早坂ひろみ

初めまして、泉区の南中山で「La Cle」という雑貨とガーデンのお店をしております。早坂 ひろみです。

東北放送の「ウォッチンみやぎ」にてガーデンコーナーをもって15年ほどが経ちました。短いコーナーではありますが、視聴者の方々からさまざまな場所でお声掛けいただき、皆様と植物を通して交流ができることをとてもありがたく思っています。

「絆」という言葉を聞くとどうしても震災が浮かびます。お店をオープンした6か月後の事でした。食料を求めてリュックを背負った方々が沢山いらして花どころではないな、と思っていました。被災後4日目に何とかお店について片づけをしていると、お客様がいらしてお花をと・・・「すべて無くしてしまったのでせめてお花をね・・・開いてて良かったわ」と笑顔で言われ目頭が熱くなった事を今でも鮮明に覚えています。その日は4人のお客様、皆様にはお花は差し上げました。植物の仕事にかかわって30年、花の力を感じ、この仕事をしていてよかったと強く思った日でした。

その後、私は食育ならぬ植育を提唱しています。土を触り、花や野菜を育てることで、心が安定して、育つ姿を見て喜びを感じる。まして、収穫して食べる喜びは格別です。

スクールでお母さまや子供たちと接する機会があり、栄養の事も含め植物の事を少しでも理解してもらえるように、好きになってもらえるようにと思い懸命に仕事をしています。

被災した土地で見事な花を作っている生産者さん、おいしい野菜やお米を作っている農家さん。生産できる力は素晴らしいものです、自然を相手に経験と知恵がなければできないことですから。懲役制度ではなくて懲農制度ができないかと、本気で思っているぐらいです。植物と真剣に向き合うことで学ぶことが多くあると思います。これからの日本を支えるのは「食」と「植」。人を笑顔に出来る仕事、そこに携わることができた私は感謝の気持ちを持って若い力を育てていきたいと思っています。

次回は料理愛好家 江川 和花氏