第20回 第22回

随想第21回

伊東 雄太 経営者のリーダーシップ 辻・本郷税理士法人 仙台支部
主任 伊東 雄太

私が辻・本郷 税理士法人に入社した平成21年10月、この日から1年と半年を過ごした平成23年3月、東日本大震災が発生いたしました。税理士法人に勤務する個人が力になれることは僅かなことで、当時は何かできることを必死に探しておりました。

あの震災で実感した一番大きなこと、それは「経営者のリーダーシップ」です。

震災時、被災地の経営者の方々は数ヶ月に渡り、会社と従業員を支える屋台骨になっていたという記憶が鮮明にございます。
震災直後、インフラは壊滅状態となり、食事や睡眠といった生活をする上で当たり前のことがままならない中、自身の事を顧みず資金繰りや人材確保に奔走している姿は、まさに日本を支える中小企業を象徴しているように感じました。

震災前には急成長していた会社も、震災の影響で有りもしないうわさ話のために他社との取引が行えなくなったり、津波で会社資産の殆どを失った会社もございました。普段は、中小企業の経営者の方へ税務アドバイスを行って、相談事を受けておりますが、当時はその相談が多岐にわたりました。

それでも、諦める選択をした社長様はおらず、どの会社も従業員を守るため、復興を成し遂げるために尽力しておられました。
今日まで、弊社が関与している全ての企業が存続していることはとても幸せなことだと感じます。

震災から3年以上が経ち、仙台駅前は地下鉄東西線の建設も進み、東口も以前の「駅裏」とは呼べないほどにまで発展しております。しかし、沿岸部を視るとまだまだ震災の爪痕は癒えていないと感じます。

これからは、東京オリンピック開催が決まり、国を挙げての大興行が進みます。その最中でも、被災地は一歩一歩復興へ向かわなければなりません。
同時に、あの震災を忘れずいまだに復興への手助けをしてくれる人々が、日本中・世界中を通して大勢いらっしゃることも忘れてはなりません。

地元、宮城・仙台を支える経営者の方々のリーダーシップが、今後も東北経済を牽引する力となり、逸早い復興を実現できる事を切に願います。

次回は、株式会社ホテル佐勘 代表取締役社長 佐藤勘三郎氏