第16回 第18回

随想第17回

伊藤 努 企業の社会貢献活動 宮城県産業技術総合センター
所長 伊藤 努氏

多くの企業のHPを見ていると、必ずと言ってよいほど「社会貢献活動」の記述がある。これは、企業の倫理観を示す大事な指標であることを示している。

私は、ある大手電機会社に身をおき、地域の清掃、近隣小学校での子供科学教室などで、地域貢献活動を経験した。後者では、何かを発見したときに見せる子供たちの驚きの表情をみて、「科学の面白さを子供たちへ伝えることができた」と、自己満足したものである。一方で、このような活動がメディアに取り上げられているかどうか、打算的なことを気にする自分にも気づいていた。

私は、社会貢献活動には3つの段階があると考える。第1段階:活動で、社名の認知度向上を期待する(対価期待)。第2段階:会社が地域に支えられており、利益をお返しする(恩返し)。第3段階:活動により自らを見つめ直し、今後の行動に活かす(自己成長のため)。私の行動は、せいぜい第1か第2段階であったと、大いに反省している。

こんな中、自分たちの社員のなかに、すばらしい行動を発見した。3年以上たっても忘れられない東日本大震災、私の事業所も、2m近い津波で大きな損害を受けた。復旧のため、泥かき、設備洗浄など多くの人手を要したが、安全確保問題、用具不足などで、社員の半分は自宅待機となった。そんな中、「自宅待機の社員で、地域の復旧活動を手伝おう」という提案がなされた。しかし、会社側は「自社復旧が第一、安全確保に不安、休日作業不可」と難色を示した。度重なる議論の末、全国から集まるボランティアの派遣調整や後方支援を行っている社会福祉協議会支援のため、平日のみ社員10数人を投入することで落ち着いた。数週間後、状況確認のため協議会へ赴くと、一部の社員は、平日は協議会で支援作業、休日は現場での復旧作業に加わっているとの話を聞いた。協議会での仕事だけでは満足できず、被災者とともに現場で作業したいとの思いが募り、休日、自主的に作業に加わった。当の社員たちは、現場から頼りにされ、社会に役立つ自分を再認識し、大きな喜びを感じたとのこと。

このような社員の存在に、定年間近の自分も誇らしく思い、一念発起しようと思った次第である。

次回は、多賀城工場地帯連絡協議会会長(ソニー㈱仙台テクノロジーセンター代表) 大崎 博之氏