第111回 第113回

随想第111回

ブエンモスト株式会社代表取締役 箱 崎  舞 チリで学んだワインの魅力 ブエンモスト株式会社
代表取締役 箱 崎  舞

29歳の時にJICA海外協力隊のボランティアとして、南米チリに住むことになりました。
お酒好きな私は、日本では酒といえばもっぱら「〇結」という缶酎ハイを飲んでおり、チリに赴任することになった時、「チリには「〇結」がない・・・何を飲もうか」と本気で悩んでいたのです。そんな悩みを抱えながらの渡航でしたが、チリの食卓にはいつもワインがあり、勧められるがままに白ワインを飲んでみました。辛口でフレッシュなその味わいが心地よく、それから、まんまとチリワインの虜になっていったのです。
2年間の活動を終えたものの、土地とワインに惚れ込み、商社のOLとしてさらに約5年間をチリで過ごしました。その間もずっと仲間との集まりにはいつもワインがありました。
「どうして今の仕事を始めたのですか?」と良く訊かれるのですが、私は、「ワインを囲んでいる人々の雰囲気が楽しくて好きだからです。」と答えます。
チリでのOL時代のある夜、一人で少し高いワインを開けて飲んでいました。すると、チリ人の友人が、「ワインは皆で共有するもの、皆で楽しむために開けるんだよ。」と一言。
高いワインを一人で飲んでしまった罪悪感も去ることながら、その言葉は私のワイン道の軸になり、起業のきっかけになったと思います。
今でも、ワイン会などで知らない人同士でもワインを飲み始めると...次第に話が弾んでいる様子を見るのが好きです。そこに弊社が輸入したワインがあったら尚更です。 人の手によって丁寧に造られたワインは、自然と人と人を繋ぐのでしょうか?きっとワインはそんな役割を持っているのですね。
チリは寒暖差が大きく乾燥しており、ぶどう栽培に適した気候です。高品質なブドウから、果実風味豊かで味わいがわかりやすく美味しいワインが造られています。私は、今年も楽しさや人の繋がりを教えてくれる素敵なワインを探す為にチリを巡る予定です。
コロナ禍で気持ちも沈んでいた日々でも、ワインを通じて知り合いになった全ての人々に多くの力を頂きました。ワインに対して「感謝」と「お陰様」という気持ちでいっぱいです。
これからも、ワインの先にある笑顔を想像し、皆さんに素敵なワインをお届けしていきたいです。

次回はおが太郎 代表 尾形 美保 様